
プロポーズされながらも、失敗していました。
元々趣味に没頭するタイプで、恋愛経験はあまりなく、それよりも趣味の時間を大事にしていました。
一人目の彼氏は大学生の時でバイト先で知り合いました。
9歳年上で仕事を辞めて司法試験の勉強をしていると言っていました。
3年付き合い婚約もしていましたが、彼の浮気で別れました。
二人目はそれから5ヶ月後、落ち込んでいたのをメールで励ましてくれた4歳年上の友達の友達でした。
一度趣味の集まりで会ったことがあり、メールをしてるうちに告白され付き合うことになりましたが、遠距離だったので、結婚したいと言ってくれましたが、私が遠く離れた土地に行くのが嫌で別れました。
2度結婚したいと言ってもらいながら失敗し、もうできないのかもしれない、とだいぶ悩んでいました。
自分は適齢期であることを痛感。
結婚に関して焦りはありました。
結婚するつもりでできなかった、結婚したいと言ってもらったのに拒絶した経験を経て、自分が適齢期であることをひしひしと感じていたからです。
それに29歳で独り身で、一体何歳で子供が産めるのかと、そもそもこのままでは子供を持つことができるんだろうかという意味での年齢的な悩みもありました。
親が経営する喫茶店で、高校生の時に出会っていました。
夫と初めて会ったのは、実は高校生の時です。
親が経営している喫茶店にお客さんでよく来ていたのが彼でした。
私は高校が終わったあと店を手伝っていたのですが、常連でいつも長居して行く彼とはよく喋っていて、いつも一人で難しい本を読みながら美味しそうにコーヒーを飲む姿が印象的でした。
憧れの存在のような感じでしたが、彼が大学を卒業し就職したのをきっかけにお店に来なくなりました。
ところが、11年後に再会。
彼が転勤で店の近くに引っ越してきて、また通うようになったんです。
そこから急速に距離が縮まりました。
今も昔もやっぱり君の事が可愛い。
連絡先を交換して時々遊びに行く仲になっていたのですが、ある日彼からインフルエンザで寝込んでいるという連絡が入りました。
「家に食べ物とか薬はあるんですか?」と聞いたところ「あんまりないけど熱が高くて買いに行けないや」という返事、心配になり、店が終わった後にヨーグルトや冷却シートなどを買って、彼の家を訪問しました。
「わざわざありがとう、病院行ったし移るから来なくて良かったのに」と遠慮がちな彼を「まぁ私今年はもうインフルかかりましたし、手伝いますよ」と諭し、買ったものを渡しました。
それから彼の熱は数日続きましたが、店の休憩時間と終わった後に様子を見に行きました。
おかゆを作り置きして帰ったり、買い物や洗濯をしてあげたりしていたのですが、回復して来て週明けから仕事に行けそうだという時に「明日からはもう来てくれないんだよね」と彼がポツリと言いました。
「治りましたからね、良かったです」
「ここ数日、楽しかったなあ」
「ご病気なのに何言ってるんですか」
「人が心配してくれるっていいものだなって思ったんだよ、ありがとう、あの、今彼氏っている?」
「こないだ別れました」
「昔は妹みたいだと思ってたんだけど、今も昔もやっぱり君のこと可愛いって思ってしまうんだ、良かれば付き合ってほしい。」
そう言われて断る理由はありませんでした。
頷いたところ抱きしめられキスされて、お付き合いが始まりました。
”大手企業研究職”の想像を超えた年収。
結婚を決意したポイントは収入と勢いでした。
というと打算的だと思われるかもしれませんが、ものすごく重要なことです。
彼は結婚願望が強く、付き合って半年ほどのある日、年収と定年までに稼ぐ予定の金額と貯金額を教えてくれました。
大手企業の研究職とは聞いていましたが、想像を超えた額でした。
僕はこれくらいなら稼げる、贅沢三昧とはいかないけど不自由させないから近い将来結婚しよう、と言われ、自分の年齢的にもタイミングは今しかないと思い承諾しました。
相手を吟味するのも大事ですが、勢いも大事だと思います。
他を妥協しても納得できる強い条件があるならば掴んでおくべきだと思っています。
幸せよりも、プレシャーから解放されたというキモチ。
結婚できて、ものすごくほっとしました。
親からは一人目の彼との婚約がダメになったことを、あんたにも原因があったのよ、といつまでも責められていたし、何より30を目前に控えて周りがどんどん結婚し、出産していたからです。
友達だけでなく妹まで先に出産し、さすがに焦りました。
幸せでもありましたが、プレッシャーからの開放感の方が大きかったです。
人に対して自然と”ありがとう”が言える。
私は幸運にも偶然相手に恵まれましたが、今にして思えば、人に優しくできたからこそ、だったのかなと思います。
夫の看病をしていたのは完全に善意からのことでしたし、昔から困っている人をどうしても放っておけない性格ではありました。
面倒に巻き込まれることはあっても別に得することはないと思っていたし、損得で人に親切にしていたわけでもなかったわけですが、それが結婚に結びついたのだから他人を思いやる気持ちを持つのは悪いことではないと思います。
また、夫はよく「君は行動が上品で、よく人にありがとうと言うよね、そこがいいなと思ってたんだ」と言います。
夫に何かしてもらった時もそうですし、買い物のレジでも、見知らぬ人にも、何かしてもらったら欠かさず、ありがとうございます、飲食店でも帰り際にごちそうさま、美味しかったです、と言うようにしています。
単純に私が実家の店でレジを担当した時言ってもらえると嬉しいからなのですが、自分だけでなく他の誰かも気持ちよく過ごせる態度を心がけて行動しているところはあると思います。
身のこなしが上品と言われるのも、考えれば昔から茶道のお稽古に通っているのでそのせいかもしれません。
自分磨きのために、と言うよりも単純に部活で茶道部だったのをこれまで続けていたにすぎませんが、きっと見知らぬうちに上品に見える振る舞いが身についていたんでしょうね。
それに茶道ではおもてなしの精神をとても大切にします。
昔から花嫁修行や婚活のお稽古事で茶道や着付けは人気ですが、その理由はこう言うところにあるのかもしれません。
今まで無意識に続けていたことも全て自分を表す一部になるのだなぁ、と今になって痛感しています。